『紅の豚』ホテル・アドリアーノのサーモンのソテー
『紅の豚』といえば、ジブリ映画の中でも少し異色な大人の渋みあふれる作品です。主人公のポルコの見た目はお世辞にもかっこいいとはいえないのに、そのコミカルな見た目の裏に漂わせる大人の渋みに気付けば虜になっていたものです。
ポルコの昔馴染みのジーナが経営するホテル・アドリアーノはアドリア海の小島に建つ美しい上質な雰囲気の場所。身なりの良い大人達で賑わうシャンソニエでは、優雅に美しくシャンソンを歌うジーナが大人の色気と魅力で客を虜にします。

そんな大人の空間から、さらに奥。喧騒から離れた静かな一室でポルコは一人食事をとっています。
ナイフとフォークで行儀良く切り分けて口に運ばれるお洒落な洋食の一品。ワイングラスを傾けながらゆっくりと進む洒落たディナータイム。

”いいやつはみんな死ぬ”
ジーナの三番目の夫の戦死が伝えられた時、彼女のグラスにワインを注ぎ、”友へ”と静かに献杯する姿には大人の憂いが滲んでいました。
ホテル・アドリアーノでの食事
さて、ではポルコが食べていた料理が何なのかを考えてみましょう。
まずメインとなる食材ですが、形状、断面の繊維の入り方、ピンクがかった色、そして細かい身の崩れの描写。これらをまとめると食材はサーモンであると考えるのが妥当そうです。
ホテル・アドリアーノはその名の通りアドリア海 に面した立地です。モデルとなったのは「アドリア海の真珠」とも呼ばれるクロアチアのDubrovnikだと言われているそうです。
アドリア海にはアドリア海トラウト(Salmo obtusirostris)という固有の鱒が生息しているそうですが、最近は個体数も減ってきているのだとか…。何にせよ、地中海と言えば魚介の宝庫ですから、ここではサーモン、あるいはトラウトの料理としておきましょう。
ソースはクリーム系のソースですが、一口にクリーム系のソースといっても様々…。
サーモンなど白身魚に合わせる白いソースといえば、白ワインのソース”ソース・ヴァン・ブラン”やバターのソース”ソース・ブールブラン”あたりが思い浮かびます。ホテル・アドリアーノはこじんまりとはしていますが、高級感もあり、ある程度しっかりしたレベルのホテルであるようですし。あるいはソース・モルネー(基本的にはグラティネする料理に使われますが…)あたりも候補に入りますね。
作中の描写を見てみると、サーモンにかけられたソースは必ずしも滑らかではないように見えます。今回はベシャメルベースのソース・モルネーを採用しましょう。(そのうち”ソース・ヴァン・ブラン”などで作り直すかもしれませんが…)
付け合わせのオレンジ色のものは人参。フレンチの付け合わせといえばコンフィが妥当なところでしょう。
ところで、ポルコの飲んでいた白ワインですが、ボトルのラベルには”MINEO”と書かれています。ちょっと調べてみたところ、この”MINEO”というのは実際にイタリアのシチリアにあるワイナリーの名前のようです。それほど有名どころではないようですが、実在するようです。
“ホテルアドリアーノのサーモンのソテー”を再現する

ホテル アドリアーノのサーモンのソテー
Ingredients
Method
- サーモンは鱗をとって好みの大きさに切ります。なるべく頭側の油の乗ったしっかりした切り身を使うと良いです。
- 皮を剥き、塩ひとつまみをまぶして10分ほど置いておきます。その後、表面に出てきた水気をキッチンペーパーなどでしっかりと拭き取ります。
- 人参はシャトー切り(4cmほどの円柱状に切った人参をさらに縦に4分割し面取りをする)にし、バターを溶かしたフライパンに入れる。砂糖を加えて焦がさないように気をつけながら溶かします。
- 人参をひたひたに覆う程度の水を加え、じっくりと水分が飛ぶまで煮詰めます。
- バターを溶かしたフライパンに小麦粉を加え、バターを吸わせながら炒めていきます。粉っぽさがなくなれば十分。
- ダマにならないように気をつけて少しずつ温めながら牛乳を加えて伸ばしていく。
- 適度な濃度になれば、塩胡椒で味を調えてベシャメルソースの出来上がり。モルネーソースの仕上げには卵黄を使うので、一旦このままおいておく。
- フライパンにバターを溶かす。バターが焦げない火加減で。
- 表面の水気をしっかりととったサーモンをフライパンに入れ、フライパンの底にくっつかないように時々動かしながら火を入れていく。
- ある程度火が通り焼き色がついたら、ひっくり返し裏面も焼いていく。ひっくり返す回数はなるべく少なくして焼き上げるようにする。
- 焼き上がるタイミングに合わせてソース・モルネーを仕上げる。ソース・ベシャメルにグリュイエールチーズと卵黄を加えてよく混ぜる。塩で調味する。
- サーモンに十分に火が通ればソース・モルネーをかけて出来上がり。
