『借りぐらしのアリエッティ』のスープ
“人間に見られてはいけない”
この掟を守りながら人間から必要なものを”借り”て暮らす身長10cmほどの小人たち。我々のすぐそばで、我々に気づかれないようにこっそりと暮らす不思議な存在のこと…。誰もが子供の頃に一度は想像したのではないでしょうか。
彼らの小さくこじんまりとしながらも、豊かさを感じる素敵な住処。人間からの”借り物”や、植物らで飾られた部屋の食卓ではアリエッティ一家が美味しそうな食事を囲みます。

物語の進行上、アリエッティは浮かない顔をしていますが、食卓上のフカフカと焼き上げられた大きなパンに、木の器に入れられた白いスープはとても美味しそうです。
アリエッティ一家のパンとスープ
アリエッティ一家の食卓はとてもシンプルです。数多くの料理が並べられるわけでもなく、それぞれの前には大きめの器に入れられたスープとアリエッティの顔ほどの大きさもあるパン、そして飲み物が置かれているだけのいっそ素朴とさえ言える食事です。
アリエッティら小人たちがどのように食材を集め、調理しているのかはわかりませんが、食卓に並ぶものは人間の食べ物と同じようなものです。
顔ほどもある大きなふわふわのパンはPain de campagne(田舎風パン)のようですし、スープはミルクスープのようです。作中の描写からはシチューのようなとろみのあるものというよりも、どちらかというとサラサラとしたスープのように見えます。
具材として描き込まれているのは、オレンジ色と緑色の大きさがバラバラのものたち。オレンジ色のゴツゴツした具材は人参、大きな緑は葉物の野菜で、細かい緑色はハーブといったところでしょうか。
ジブリで葉物のお野菜となると、やはりほうれん草が頭をよぎります。
さあ、どう料理しましょうか…。
アリエッティ一家の食卓 パンとスープを楽しむ。
アリエッティのスープを再現する上で、色々と細かいことを考えるとキリがありません。例えば、〇〇は小人たちは手に入れられるのか、とか小人たちは〇〇の調理器具を持っているのか…とか。小麦粉ひとつとっても小人にとっては粒が大きいでしょうし、人間と同じように扱えるとも思えません。
あくまで雰囲気を再現することを目的に作っていくことにします。
田舎風パンを作る
アリエッティ一家の食卓に置かれた大きなパン。
あんなに大きくて丸いパンといえば、Pain de campagneが真っ先に思い浮かびます。
久しぶりにPain de campagneを仕込むことにしました。

Pain de campagneのレシピは数ありますが、基本の材料としては小麦粉とライ麦粉、イーストに水と塩だけです。

前日の晩に発酵種を仕込んでおき、室温で約12時間発酵させます。

参考までに今回発酵種に使用した材料は
- 薄力粉: 50g
- 強力粉: 50g
- ライ麦粉: 100g
- ドライイースト: 小さじ1
- 水: 120 ml
です。
翌朝。
寝かせておいた発酵種の様子を見ると、しっかりと発酵が進んでいました。

この発酵種と、本生地用の材料を混ぜたものをしっかりとこね合わせます。
本生地には
- 薄力粉+強力粉: 1kg
- ライ麦粉: 150 g
- 塩: 大さじ1
- ドライイースト: 小さじ2 1/2
- 水: 700 ml
を使用しています。

しっかりと捏ねた後、一次発酵をとります。
十分に膨れたところで、二分してそれぞれを丸めてオーブン用の鉄板に乗せ、二次発酵を取ります。

生地が倍ほどになったところで、250度に予熱したオーブンで25分ほど焼き上げました。

外はしっかりと焼き上がってパリッと、中はふわふわに仕上がっています。

Pain de campagneを久々に焼いたので、焼き上がるまで少し不安でしたが、とりあえず大きな失敗はなく焼き上がったようで安心しました。
アリエッティのスープ
続いてスープを作っていきます。
上述の通り、個人的にはホワイトシチューほどのとろみは見て取れなかったので、あくまでミルクベースのスープを作ることにします。どことなくポタージュのような質感なので、その路線で進めていきます。
スープの味のベースをとりたいので、しっかりと厚みのある脂の乗ったベーコンをバターでじっくりと炒めます。

同じく味のベースとする野菜としては玉ねぎ、セロリを使います。

野菜を加えてしんなりとするまで炒めたら、マッシュルームを加えて、さらにハーブを加えます。
軽く炒めたところで、白ワインを加えてアルコールを飛ばし、ひたひたまで水を加えて煮込んでいきます。

煮汁を鍋に残し、ベーコンと野菜類だけをミキサーに移して、ピュレ状になるまで攪拌します。

一方、鍋に残した煮汁にざくぎりにしたにんじんとじゃがいもを加えてじっくりと煮込みます。

じゃがいもが崩れ始めたら、先ほどミキサーにかけたピュレを鍋に戻し、さらに煮込んで馴染ませます。

仕上げに牛乳と、生クリームを加えて塩胡椒で味付けし、青菜を加えれば出来上がりです。
今回は冷蔵庫にあった食材の関係で、ほうれん草ではなくケールを使用しました。

ケールは元々煮込み料理にも適した野菜なので、スープの具材にも美味しく使うことができます。
特に最近は柔らかく苦味も強くない種類のケールも売られているので、そういったケールを使うと美味しく仕上がります。一昔前ならケール=青汁と、苦い野菜の代名詞のような存在でしたが、随分と食べやすくなったものです。

さて、田舎パンと野菜のミルクポタージュを作って、『借りぐらしのアリエッティ』の食卓を再現してみました。
牛乳ベースのまろやかなスープとふわふわの田舎パンの相性は間違いありません。美味しくいただきました。
