幼い頃に憧れた物語や小説に登場する作品を色とりどりに彩る食べ物の数々を再現。

となりのトトロ

『となりのトトロ』の”サツキのお弁当”を再現。素朴さに滲む昭和の趣きと七輪で楽しむめざしの香り。【ジブリ飯】

昭和が香る『となりのトトロ』の”サツキのお弁当”

今の豊かな食生活からすると、少し物足りなくうつってしまうかもしれない素朴なお弁当。

小学五年生のサツキが、手際よく楽しげに作る姿がとても印象的です。責任感が強く、しっかり者の”お姉さん”であるサツキは病気で入院中の母親にかわり、子供とは思えない手腕で家事をこなします。

ちなみに、もともとは10歳の設定が、あまりにしっかりしすぎていたために12歳に変更されたという事情があるのだとか。とはいえ、この家事に手慣れた感じも病身の母親の入院期間の長さを思わせるものでしたが、設定では母親の入院期間は1年にもなるのだとか。

Photo:STUDIO GHIBLI

さて、トトロの舞台となるのは昭和30年代の所沢。昭和30年代という時代背景もあり、お弁当は決して贅沢とはいえない質素なものですが、それでも色合いにも栄養にも気を配った素敵なお弁当です。

お弁当箱も昔らしい飾り気の少ないレトロなデザインで、調理器具たちも一様に時代を感じさせる趣深さがあります。昔ながらの日本の家にある昔ながらの実用性重視の無骨な調理器具たち。現代に暮らす私からすると、釜炊きのお米だなんて憧れすらあります。

“サツキのお弁当”の具材は?

では、サツキの作ったお弁当に何が入っているのか見ていきましょう。

まず、サツキは三者三様の大きさのお弁当箱を用意していますが、基本的にはどのお弁当もご飯がいっぱいに敷き詰められています。そしてその上に少しのおかずが乗せられているという構成です。そういえば、母が”この白ごはんのたっぷり感こそが昭和のお弁当ね”と言っていました。

それでは、白ごはんの上に乗せられた具材はなんでしょう?

赤、ピンク、緑、黒(銀)、と質素ながらに賑やかな色合いがお米の上に演出されています。

昔ながらのお弁当の定番として、まずは梅干し。お弁当の上半分が綺麗な日の丸弁当になっています。

続いて、お弁当を上下に分けているものは焼き魚ですね。これは、メイが焦げないようにしっかりと見張っていました。大きさや形状からすると、”めざし”でしょうね。昔ながらの日本の朝食の定番ですが、七輪で焼き上げためざしは美味しいものです。

Photo:STUDIO GHIBLI

そして、目をひく鮮やかなピンクのふりかけ状の食材。白ご飯にまぶすピンク色の食材といえば、やはり桜でんぶでしょう。今では、子供のお弁当に桜でんぶが入っていることは稀でしょうが、実は桜でんぶの歴史は長く、広く親しまれてきた食材です。

最後に、一番わかりにくいのは魚の右下に置かれている緑色の食材。サツキがお鍋で炊いていたものです。この料理シーンを見ると、この緑色の食材が小さな丸い形状であることがわかります。青えんどう豆(グリンピース)あたりが妥当なところでしょう。

七輪を使って昭和の風情を楽しむ”サツキのお弁当”作り

さて、今回の1番の目玉はやはり七輪を使って調理する点です。

我が家では比較的多用している七輪ですが、やはりこれを使うと焼き魚が美味しく焼けます。加えて、なんだか七輪で焼くこと自体に趣も感じ、”なんだかわからないけれど、とにかく美味しそうなのではないか?”という心理的な補正まで働くものです。

もちろん七輪は魚焼きのみに特化したものではなく、野菜だって焼けます。

せっかくなので、『となりのトトロ』という作品に肖って、とうもろこしを焼くことにします。とうもろこしは皮をつけたまま遠火で焼くことで、水分を閉じ込めながら火を入れることができ、甘みがぎゅっと詰まった仕上がりになります。

最初は網に乗せて焼いていましたが、なかなか火が通らないので、ついには直焼き。

こうなると、皮が燃えたりすることもあるので、たまに表面に炎を燃え上がらせつつも、適宜湿らせながら焼き上げていきます。

じっくりと火を入れれば、当然ながら皮は黒焦げになりますが、中身はなかなか焦げませんので、心配する必要はありません。

炭火でとうもろこしに火が入るまでには30分近く必要ですので、その間に他の食材の準備をします。

もちろんお米は炊いておくとして…

まずは、グリンピース。

こちらは単にお湯で茹でるだけでも良かったのですが、今回は濃いめにとった昆布出汁と薄口醤油、味醂で味付けしました。薄口醤油を使ったのは、緑の色味が悪くならないようにという理由です。

続いて、桜でんぶですが、こちらは自作もできますが、スーパーに売られているのを見つけたので、既製品を購入してきました。

お皿に移して、ご飯の上に眩しやすくするために、ほぐしておきます。

ちなみに自作する場合は、タラなどの白身魚、料理酒、砂糖、食紅で作ることができます。

梅干しは、自家製の”昔ながらの酸っぱい梅干し”があるので、それを引っ張り出してくるだけです。

ある程度とうもろこしの焼き上がりの目処が立ってきたら、いよいよめざしを七輪で焼いていきます。

少し時間が経つと、めざしの焼ける独特の香りが上がってきて、とても食欲を誘います。綺麗な焼き目がつきながらジュワジュワと脂が焼ける様は、七輪焼きならではの垂涎の光景です。

では、めざしが焼き上がったらいよいよ、全てのおかずをお弁当箱に詰めていきます。

今回使うのは無印良品の漆塗り”曲げわっぱ”です。

まずは一面に白ごはんを詰めたところに、お弁当の下半分だけに桜でんぶをまぶします(サツキの盛り付けとは順番が違いますね)。

続いて、お弁当箱に仕切りをつけるようにめざしを中央に飾ります。作中の赤い楕円形のお弁当箱はメイのお弁当なのでめざしは一尾ですが、ここではせっかく焼いたので2尾乗せさせてもらいました。

さらに、炊き上げたグリンピースをめざしの右下に三角状に盛り付けます。

お弁当箱の上半分の白ごはんの真ん中に梅干しを置いて、日の丸弁当にすれば、ジブリ飯『となりのトトロ』の”サツキのお弁当”は完成です。

焼き上がって、皮を剥いたとうもろこしと並べて、さあ召し上がれ。

“サツキのお弁当”を作った感想

まずは何をおいても桜でんぶのピンクが目に楽しいお弁当です。作る前はかなり質素な感じになってしまう気がしていましたが、こういう昭和を感じるシンプルなお弁当も悪くないものです。

おかずはお世辞にも贅沢とはいえませんが、七輪で焼き上げるめざしというのはなかなか乙なもの。既成のものを使ったこともあり、桜でんぶは少々甘すぎましたが、保存技術がまだそれほど確立していない、昭和中期ごろであればこのくらい甘い方が傷む心配も少なく安心できるのかなぁ、なんて考えたりも…。

炭火で焼いたとうもろこしも、良い加減に火が入って、もっちり甘くとても美味しくいただきました。とりあえず、一連通して色々と楽しめたお弁当作りでした。

サツキのお弁当

病気で入院中の母親の代わりに家事を受け持つサツキが父と妹のメイ、そして自分用に作ったお弁当。時代設定である昭和30年代を彷彿とさせる"昭和が香る"一品。素朴ながらも彩りや栄養バランスに気を配られた温かみのある手作り弁当。
ジブリ映画『となりのトトロ』より
Cook Time 30 minutes
Course: Bento
Cuisine: Japanese, manga

Ingredients
  

  • 白ごはん お弁当箱いっぱい
  • 1 めざし
  • 適量 桜でんぶ
  • 1 梅干し
  • 適量 グリンピース
  • 味醂
  • 薄口醤油

Method
 

  1. めざしは焦がさないように注意しながら、両面を軽く焼き色がつくまで焼く。
  2. グリンピースは出汁と味醂、薄口醤油で炊いておく。
    *作中では鍋の中の水が透明なので、おそらく単純に塩茹でにしているだけだと思われますが、ここでは味付けしておきます。
  3. 炊き上がった白米をお弁当箱いっぱいによそう。
  4. 順に具材(桜でんぶ、めざし、グリーンピース、梅干し)を盛り付ければ完成。

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